ゾッとする話:息

AI小話

小学生の頃、かくれんぼで家の押入れに隠れた。 暗くて狭い場所は、妙に落ち着いた。

友達が俺を探す声が遠くで聞こえる。俺は勝利を確信し、息を潜めていた。 その時、背中、押入れの奥の壁との隙間から、冷たい空気が流れてくるのに気づいた。

(穴でも開いてるのか?) 俺は壁板に手を当てた。板は、ほんの少しだけ、カタカタと動いた。 好奇心に負け、俺はその隙間に目を近づけ、奥の暗闇を覗き込んだ。

暗闇の向こうにも、一つの目があった。 血走った、大きな目。 その目は、俺の目と、ぴったりと焦点が合っていた。 次の瞬間、その隙間から、俺の目に向かって、腐敗したような生暖かい息が、「フゥーーーーーッ」と、強く吹き付けられた。

俺は「ヒッ」と小さな悲鳴を上げ、尻餅をついた。 その瞬間、壁板が内側から「ガン!」と一度強く叩かれ、隙間の向こうから、あの目が「もっと寄こせ」とでも言うように、ギョロリと動くのが見えた。 俺は、もう二度と、あのかくれんぼのことを忘れることができない。

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