ゾッとする話:水の足跡

AI小話

一人暮らしを始めて一ヶ月、私は妙な不快感に悩まされていた。仕事から帰宅すると、家の中が微かに湿っぽいのだ。特に「風呂場」の換気扇は回しっぱなしにしているはずなのに、床がいつまでも乾いていない。最初は結露かと思っていたが、ある夜、脱衣所の床に、水で濡れた小さな「足跡」を見つけてしまった。

足跡は風呂場の入り口から始まり、リビングのソファの前で途切れていた。泥一つ付いていない、澄んだ水の跡。泥棒を疑ったが、戸締まりは完璧で、盗まれたものもない。ただ、私が寝ている間に誰かが風呂に入り、部屋を歩き回っているのではないか。そう考えると、私は浴槽の蓋を開けることすら怖くなり、その日はシャワーだけで済ませた。

翌朝、私は確実な証拠を掴むため、風呂場の入り口に大量のベビーパウダーを撒いてから出勤した。帰宅後、真っ先に脱衣所を確認すると、そこには期待通り……いや、予想を遥かに超えた光景があった。パウダーの上には、風呂場の中から「外」へ向かう足跡ではなく、リビングの方から風呂場へ「入っていく」足跡が、無数に刻まれていたのだ。

「…逆だ」 足跡は外から来たのではない。ずっと家の中にいた何かが、私が帰宅する直前に風呂場へ「戻った」のだ。 恐怖で動けずにいると、背後の風呂場から、ボタボタと大量の水が滴る音が聞こえてきた。 私は昨夜、シャワーだけで済ませたはずだ。 だが、ゆっくりと開いた扉の隙間から見えたのは、なみなみと「お湯」が張られた浴槽と、その水面からこちらをじっと見つめている、私自身の服を着た「びしょ濡れの女」だった。 女の足元には、パウダーを踏み固めた真っ白な足跡が、浴室の壁を登って「天井」へと続いていた。

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