一人暮らしを始めてから、どうにも寝つきが悪い。毎晩、ベッドに入ると、誰かに見られているような「視線」を感じるのだ。もちろん、部屋には誰もいない。 ある夜、ついに耐えきれなくなり、部屋の隅に防犯カメラを仕掛けて寝ることにした。次の日の朝、早速映像を確認する。そこには、ベッドで寝苦しそうに寝返りをうつ、自分の姿が映っていた。
数時間、映像を早送りしたところで、信じられないものが映った。午前3時過ぎ。私が寝返りを打った瞬間、「ベッドの下」の暗闇から、ゆっくりと手が這い出してきた。そして、その手は床に落ちていた私のスリッパをつかむと、何かを確かめるように、ゆっくりと撫で始めた。
映像の中の手は、しばらくスリッパを撫でた後、再び「ベッドの下」の暗闇に消えていった。
私は思わず映像を止めた。スマホを握りしめた手が震える。 今、私はこの映像を “自分のベッドの上” で見ている。 間違いであってくれと祈りながら、耳を澄ませる。 …聞こえる。 私の浅い、恐怖に乱れた呼吸のリズムに合わせて、 すぐ下の暗闇から、冷たい何者かの呼吸が、静かに続いている。
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