ゾッとする話:結合の儀式

AI小話

俺の恋人・サキは、異常なまでの執着心の持ち主だった。そして、彼女には一つの癖があった。不安になったり、感情が高ぶったりすると、自分の指先のささくれや甘皮を、血が滲むまでむしり続けるのだ。

その歪んだ愛情に疲れ果てた俺は、ついに別れを切り出した。 「もう無理だ、別れてくれ」 サキは泣き叫び、「絶対に嫌だ」と俺に掴みかかってきた。その時も、彼女は自分の親指の皮を、爪で激しくむしっていた。俺は彼女を振り払い、ヤケ酒を呷ってそのまま意識を失った。

目が覚めると、俺は自室のベッドの上だった。だが、体が動かない。手首と足首が、シーツごとロープでベッドフレームに固く縛る付けられていた。 「サキ! 何するんだ!」 暗闇に目が慣れると、ベッドの脇にサキが座っていた。 「…やっと起きた。もうどこにも行っちゃダメだよ」 彼女の手には、文房具ではない、医療用のがっしりとした銀色のホッチキス(スキンステープラー)が握られていた。

「私たち、家族になるの」 サキはうっとりと呟き、お腹のあたりから何かを取り出した。ホルマリンの瓶。その中には、小さな、小さな胎児の標本が浮かんでいた。 「医務室から、私たちの赤ちゃん、連れてきたの」 彼女の目は狂気に満ちていた。 「あなたと、私と、この子。もう誰も離れられないように、一つに『結合』しなきゃね」 彼女はそう言うと、いつもの癖で血だらけになった指先を俺の腹に押し付けた。そして、俺の皮膚と、自分の手のひらの皮膚を掴み合わせ、 ガチャン、と冷たい音を立てて、ホッチキスを強く打ち込んだ。

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