ゾッとする話:開かずの引き出し

AI小話

祖母が亡くなり、物置と化していた離れの部屋を片付けていた時のことだ。そこには、祖母の嫁入り道具だったという、やけに「古い」桐の「タンス」が鎮座していた。表面はすっかり色褪せ、分厚い「ほこり」をかぶっている。

上の段には古い着物や反物が入っていた。だが、一番下の、床に接する大きな引き出しだけが、どうしても開かなかった。鍵穴はない。中身が詰まって引っかかっているのかと思い、タンスごと揺さぶってみたが、ビクともしない。まるで内側から閂(かんぬき)でもかかっているかのようだ。

「えいっ」と体重をかけ、力任せに引き出しの取っ手を引いた。その瞬間、抵抗がふっと消え、引き出しが勢いよく開いた。樟脳の強烈な匂いとともに、溜まっていた「ほこり」が盛大に舞い上がる。そして、その奥から、カラカラ、と乾いた「かすかな」音がした。何かが床に落ちた。拾い上げると、それは赤黒く変色した、人間の乳歯だった。

引き出しの中は空っぽだった。 だが、その奥。引き出しを抜いた先にある、タンスの背板を、私は見てしまった。 そこには、まるで獣が暴れたかのように、びっしりと、子供の小さな手で引っ掻いたような無数の傷跡が残されていたのだ。あの乳歯は、この中で抜け落ちたものなのか。そして、あの「かすかな」音は……。私は、舞い上がる「ほこり」が、まるで誰かの息遣いのように見えて、慌ててその場から逃げ出した。

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