意味が分かると怖い話:新しい家族

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お話

俺たち家族4人は、夢だったマイホーム(中古)に引っ越した。少し古いが、広い庭と、何より大きな地下室があるのが決め手だった。 「パパ、ここ秘密基地みたい!」 幼い息子と娘は、初めて見る地下室に大はしゃぎだった。

引っ越して数日後、俺は地下室の隅に、古いアルバムが置かれているのを見つけた。前の住人の忘れ物だろう。 中には、俺たち家族が越してくる前に住んでいたであろう、見知らぬ家族の写真がびっしりと貼られていた。 夫婦と、幼い兄妹。…まるで、俺たち家族の構成とそっくりだった。 写真の中の彼らは、皆、幸せそうに笑っていた。

そのアルバムをリビングに持って上がると、妻が「まあ、素敵ね」と微笑んだ。 「なんだか、私たちみたいね」 妻は、そのアルバムを、俺たち自身の家族写真が飾られた棚に、並べて置いた。

その日の午後。 俺は庭で荷解きをしていた。ふと家の方を見ると、地下室の小窓(地面スレスレにある窓)が開いており、息子のタクヤが、そこから俺に向かって「パパ!」と手招きをしているのが見えた。 「おい、危ないぞ! すぐ上がるから待ってろ!」 俺は慌てて家の中に入った。

だが、俺がリビングを通り抜けて地下室への階段を降りると、タクヤの姿はどこにもなかった。 「タクヤ? どこだ?」 地下室は、がらんとして静まり返っている。 「パパ、なにしてるの?」 声がして振り返ると、タクヤは、地下室の「入り口の階段の上」に立って、俺を不思議そうに見下ろしていた。

俺は、全身に悪寒が走った。 じゃあ、さっき俺が庭から見た、あの地下室の小窓から俺に手招きをしていた「タクヤ」は、一体、誰なんだ…? 俺は、リビングの棚に並べられた、二つのアルバムを思い出した。


解説

一見、中古物件での、子供のイタズラか見間違い、という日常の一コマに見える。 しかし、違和感は「主人公が庭で見た“地下室の小窓にいるタクヤ”」と「実際にタクヤがいた“地下室の入り口(階段の上)”」という、物理的な位置の矛盾。 真相は、主人公が庭から見たのは、息子のタクヤではない。 それは、あの古いアルバムに写っていた、前の住人の「息子」の霊だった。 前の住人一家(主人公たちとそっくりな構成)は、この地下室で何か不幸な目に遭い、成仏できずに留まっている。 そして今、彼らは、自分たちとそっくりな構成の新しい家族(主人公一家)を、自分たちの「代わり」として地下室に引きずり込もうと、「手招き」を始めたのだ。

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