ゾッとする話:四角い穴

AI小話

その「団地」は、奇妙なルールで有名だった。各部屋の「ベランダ」の隅に、なぜか30センチ四方の四角い「穴」が開けられており、絶対に塞いではいけない決まりになっていた。契約時にも「あの穴だけは、絶対に埋めないでください」と念を押された。

俺が越してきたのは三階の305号室。上の階、405号室には陰気な老人が住んでいた。彼はいつもベランダで「観葉植物」に水をやっていたが、その水が必ず、あの「穴」を通って俺のベランダに滴り落ちてくるのが不快だった。水はいつも妙に白く濁り、カビ臭かった。

ある日、上の階から水が滴ってこないことに気づいた。一週間経っても静かなままだ。不審に思い、管理人に尋ねると、彼は顔を青くして言った。「405号室は、もう5年前から空室ですよ」 では、俺がずっと見ていたあの老人は? 水をやっていた植物は?

その夜、俺は意を決して、自室のベランダの「穴」を、下から覗き込んだ。 真っ暗な四角い穴の向こう。上の階の穴から、逆さまになった老婆の顔が、こちらをじっと「見つめていた」。老婆の口がゆっくりと開き、観葉植物の「根」のような黒い手を、穴から俺に向かって伸ばし始めた。「みずを、おくれ」と呟きながら。

コメント

タイトルとURLをコピーしました