ゾッとする話:蔵の中の子

AI小話

祖母の遺品整理で、何十年も入っていなかった古い蔵に入った。埃とカビの匂いが充満する中、私たちは「古くから」開かずの扉とされていた奥の「押入れ」を、ついに開けることにした。固く錆びついた戸を無理やり引くと、中から冷たい空気が流れ出した。

押入れの奥、立派な桐の箱が鎮座していた。蓋を開けると、そこには美しい着物をまとった市松「人形」が一体。ガラスの瞳は、暗闇の中でも不気味なほど澄んでいて、まっすぐに私たちを見つめ返してきた。祖母が「あそこだけは、私がいなくなるまで開けるんじゃないよ」と、なぜか楽しそうに言っていたのを思い出す。

その人形を、一旦、母屋の仏間に安置した。その夜だった。寝静まったころ、階下からギシ、ギシ、と床板の軋む音が聞こえた。泥棒か。息を潜めて階段の上から見下ろすと、暗い廊下の先に、仏間がぼんやりと見えた。そして、小さな影が、仏間から這い出すように出てくるのが見えた。あの人形だ。

私は声も出せずに固まった。人形はゆっくりと廊下を進み、祖母が使っていた寝室の前に座り込むと、まるでドアを叩くように、小さな手で扉をコツ、コツ、と叩き始めた。そして、無邪気な子供のような声で言った。「ねえ、おばあちゃん。開けて。私を『押入れ』から出してくれてありがとう。……今度は、あなたを箱に入れる番よ」 祖母の言葉の意味が、今、最悪の形で繋がってしまった。

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