ゾッとする話:プールの排水溝

AI小話

夏休み最後の日、僕は混雑するレジャープールの「流れるプール」にいた。浮き輪に身を任せ、ぼんやりと流されていると、前方から小さな「女の子」が、流れに逆らって必死に歩いてくるのが見えた。周囲の客は楽しげに流されているのに、彼女だけが必死な形相で、僕の方へ手を伸ばしている。

「お兄ちゃん、助けて……重いの!」 すれ違いざま、彼女が僕の腕を掴んだ。その手は氷のように冷たく、僕を水底へと強く引き込む。ふと彼女の足元を見ると、排水溝の網が外れた暗い穴から、無数の青白い「手」が伸び、彼女の足を掴んでいた。僕は必死に彼女を引き上げようとした。

だが、その瞬間、女の子の顔から表情が消えた。「……ありがとう。交代ね」 彼女は僕の肩を強く蹴り飛ばし、逆に僕を排水溝の真上へと押しやった。凄まじい吸引力に足が吸い込まれる。パニックになり周囲に助けを求めたが、流れている客たちは皆、無機質な顔でこちらを見ているだけだった。

「あ、上がってきた」 監視員の無機質な声が聞こえた。水面から這い上がったのは、さっきまで泣いていたあの女の子だった。彼女は僕が腕に巻いていた「ロッカーの鍵」を自分の腕に付け直し、何事もなかったかのように家族のもとへ駆けていった。

僕は排水溝の奥、暗い水の底から、次に流れてくる「誰か」を待ち続けることになった。 翌日の開園前、プールの底には、僕がしていた腕時計だけが、静かに時を刻みながら沈んでいた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました