「とりあえず最後まで読んだけどあの場面ってなんの意味が合ったんだろう」「この作品めちゃくちゃ好きだわ〜次も似たような作品を読みたいけど調べるのがめんどくさいな〜」
読書好きにはよくある悩みだと思いますが、この記事を読むと
①作中で出てくる伏線を理解する
②「リバース」の狂気名場面を振り返る
③「リバース」が面白かった人におすすめの本を知る
ことができます。
管理人は年間100冊以上小説を読んでいるため、分かりにくい箇所を簡単にまとめて解説してみました。
最後にはジャンルの似ている本を紹介するので気になる人は是非チェックしてみてください!
あらすじ

医師の父、美しい母、高貴なまでの美貌を振りまく双子・梨花と結花。 非の打ち所のない雨宮家に住み込みで働くことになった家政婦の幸子。田舎出身で純粋な幸子は雨宮一家の異常さに気づかず深みにハマっていく。育ての親である神父様に近況報告の手紙を書いていく中で、ある「真相」にたどり着いた幸子は、留守番電話に悲痛なメッセージを残す。
伏線と回収

伏線1:結花は梨花に憧れていた
・幸子が感じ取っていた結花の梨花への感情
→引用文
そんな梨花様の横に、結花様はおとなしく従っていました。誰よりも忠実な僕と言えば伝わるでしょうか。結花様も梨花様にお仕えするのが喜びなのだと思います。梨花様を見つめるまなざしは、憧れと尊敬に満ちていました。〜中略〜
お姉様のように元気で健康なら、と漏らしていたこともあります。梨花様に憧れ、お姉様のようになりたかったとおっしゃる結花様を慰めるため、幸子はただうなずいているしかありませんでした。〜中略〜
宗像先生は笑っておられました。梨花様の夢につきあっているのでしょう。でも、梨花様はとても嬉しそうでした。結花様はそんなお二人のことを、羨ましそうに見つめておられました。
・雨宮家の異常さに気付き逃げる準備をしていた幸子が見つけた二人の死体
→引用文
スリッパが挟まっていた。奥様、とつぶやきかけて、違うと幸子は首を振った。スリッパだけではない。まっすぐに伸びたつま先が見えた。〜中略〜
そして、バスルームの奥にもう一人倒れているのもわかった。可愛らしいピンクのパジャマ。
・リカ誕生の瞬間
→引用文
「結花さん、お姉さんの梨花さんは、今どこにー」背後でかすかな笑い声がした。振り向こうとした時、首筋に何かが刺さった。痛みはなかったが、いきなり視界がぼやけた。何が起きているのか。鼻孔に悪臭が充満する。〜中略〜
耳元でささやく声がした。「あたし、リカよ」
伏線1に対する考察:
結花が梨花に憧れていることは、作中で何回も表現されています。
幸子がバスルームで奥様と少女の遺体を発見した際、少女が着ているパジャマはピンク色です。パジャマは普段、梨花がピンク、結花がブルーを着用しています。
リカ(結花)が神父様を殺害するシーンでは、神父様は結花と会話しているが、リカ(結花)は神父に麻酔を打ち込んだ後「あたし、リカよ」と伝えています。
ここで初めてカタカナの「リカ」が登場します。
結花がリカになった瞬間=化け物誕生の瞬間です。
前作でリカのことが「少女のような」とよく表現されているのは、「憧れの梨花」は15歳で死んでおり時が止まっている梨花に成り代わっているからなのかな?と思ったのですがどうでしょう?
伏線2:旦那様の消えた麻酔薬
→引用文
「クリニックでちょっとトラブルがあってね」
クリニックでお使いになっている麻酔薬のサンプルがケースごとなくなってしまい、他の先生方が探しているのだそうです。〜中略〜
「犬のことに詳しい奴がやったんだと思う。麻酔薬とか、獣医だったら持ってるだろう?おやつでもあげればプチ子は近づいてくるから、隙を見て注射したんじゃないかって…だけど、そんな獣医がいると思うかい?この辺の先生のことは知っているけど、そんな酷いことをする人はいないと思うな」
伏線2に対する考察:
前作である「RIKA」「リターン」からも分かるように、麻酔薬を使用して気を失わせた後に、生きたまま切り刻んでいくスタイルはリカの手口です。
つまり、近所の犬猫殺害は結花(リカ)の仕業でした。
伏線3:マロンの下にある骨
→引用文
花壇に埋まっていたのは、間違いなくマロンの骨でした。細く、小さかったことからも、それは確かです。骨にはマロンの白い毛もついていました。奥様があそこにマロンを埋めたのは本当なのでしょう。
でも、その下にもっと太い、大きな骨があったような気がします。はっきり見たわけではありませんが、小型犬のマロンにしてはずいぶんと長かったように思います。あれはすべてマロンの骨だったのでしょうか。もしかしたらー。
伏線3に対する考察:
作中では人骨?だと仄めかされていることから、雪乃の可能性が高いです。
奥様の腹違い兄弟一家が失踪したことがきっかけで雨宮家を継いでいるので、仮に奥様が腹違い兄弟一家を殺害していたとしても、庭に死体があるのはおかしい。
千尋はマロンの後に失踪しているのでマロンの下に骨があるのはおかしい。
目的のためであれば気に入らない対象を躊躇なく排除するところは完全に母親譲りでしたね。
死んでいく人物が多すぎて「誰が誰を殺したのか」分かりにくいと思いますので、下にまとめてみました!
◼︎誰が誰を殺したのか
・奥様が殺した可能性が高い:ネオンテトラ、マロン、奥様の腹違い兄弟一家、雪乃
→奥様は定期的にシチューを作るという記述があるので、以前から生き物を殺している可能性高い
→ネオンテトラとマロン:幸子の種明かし時に記述あり
→奥様の腹違いの家族:殺害することによって雨宮家の後継の座につけるため動機あり
→雪乃:幸子の種明かし時に、雪乃も旦那様と関係を持った?と仄めかされている
・リカ(結花)が殺した可能性が高い:近所の犬猫、千尋、宗像、梨花、奥様、幸子、神父様
→近所の犬猫:麻酔を使ったリカ(結花)の殺しの手口
→千尋:①マロンがいなくなった後に失踪しており、マロンの下に骨があるのはおかしいため奥様ではない。②宗像先生の恋人であり、リカ(結花)は宗像先生に想いを寄せていた。
→宗像先生:リカ(結花)が恋人の千尋を排除したにも関わらず、宗像先生は千尋のことがずっと忘れられないことを知り、手に入らないことを悟った。
・有坂が殺した可能性が高い:榊原、旦那様
→榊原:有坂に頼んで排除してもらったと錯乱している奥様が発言していた
→旦那様:有坂&榊原をよく思っていないことが記載されており、有坂にとっては邪魔な存在で動機あり
伏線4:前作からのリカの体臭や底なし体力の謎
リカ(結花)は12歳の時に脳腫瘍を患います。幸子は奥様の指示で、正体不明のお茶(後に検査すると普通のお茶と判明)を結花に飲ませ続けます。その頃から結花の体臭に変化が生じます。
→引用文
十二歳の子供をこんなに苦しませるなんて、神様は残酷です。しかも、腫瘍の影響で、結花様はほとんど眠ることもできなくなっていました。〜中略〜
もうひと月近く結花様は何も食べていません。点滴で栄養を摂るだけで、げっそりとやせ、目は落ちくぼみ、骨と皮だけです。〜中略〜
幸子は奥様お手製のお茶を淹れて飲ませるようにしていました。それを飲むと、結花様は少し落ち着かれるのです。〜中略〜
しばらく前から気づいていたのですが、結花様の皮膚に皺が増えていました。腕といわず足といわず顔といわず、全身です。急激にお痩せになったので、余った皮が皺になっているのでしょう。〜中略〜
特にお茶を飲んだ後には、体から妙な臭いがするようになっていました。〜中略〜
顔色は悪く、肌はまるで老人のようです。〜中略〜
病院で強い薬を使っていたので、新駅が麻痺しているのかもしれないと旦那様はおっしゃいました〜以下略〜
伏線4に対する考察:
・リカの容姿について
→脳腫瘍の療養中に痩せていったのが原因。
・リカの体臭について
→療養中に痛みを取るために摂取していたお茶が原因。ちなみにこのお茶は、有坂から奥様が購入した正体不明のお茶。
・リカのバケモノじみた体力
→前作の「リカ」「リターン」で、度々リカは眠らずターゲットをストーキングします。また銃で2発撃たれた状態で警察官1名と救急隊員2名を殺害します。脳腫瘍による睡眠障害の名残と療養中に使用していた強い薬で神経が麻痺していることが原因。
リカのバケモノ人格は、母親の教育と遺伝から。バケモノ体力は、12歳の時に患った脳腫瘍から。バケモノ容姿は、脳腫瘍と信仰宗教に傾倒した母親が入手したお茶から。
こうやって見るとリカもある意味被害者ですよねぇ…
管理人が選ぶ狂気名場面トップ3

トップ3:結花を庇った幸子をボコボコにする梨花
脳に腫瘍ができ体調が本調子ではない結花を日常的に虐めている梨花。病気が原因で、留年している結花のテスト答案用紙を口に詰めている際にたまらなくなった幸子が止めに入ったことに対して「生意気だ」とブチギレる。鳩尾に蹴りを入れ、倒れた幸子に呪文のように「いやらしい女だ」などと言いながら蹴り続ける。
純粋で世間知らずな幸子に何の恨みがあるのか分かりませんが、キレ方が母親に似ていますよね。やっぱり、親にしてもらってきたことを自然と他人にしてしまうのでしょうね。
トップ2:急に怒り狂う奥様
雨宮家のベンツの掃除をしていた幸子は、ベンツの中に積んであった工具箱の中からマロンの首輪を発見します。何も疑わない幸子はそのまま奥様に渡してしまいます。
マロンを殺したのは奥様なので、焦った奥様はブチギレます。
急に幸子の頬を張り、「いやらしい女・子供に甘い・男にはもっと甘い・醜女」など、下品な言葉を叫びながら幸子に浴びせ続け、しまいには幸子の首を締めます。
この時、神父様が倒れたということを知らせるために清美さん(家政婦協会の先輩)が雨宮家を訪れたことによって、幸子は死なずにすみます。
管理人は、幸子の防御力のなさと純粋さにイライラしつつも、奥様の沸点を超えてからトップスピードに入るまでが速すぎてビビり散らかしました。徐々にキレてくれよ…
せめてキレる前に助走欲しいですよね…
トップ1:初手でアキレス腱をカッ裂くリカ
千尋さんや宗像先生を殺した犯人が奥様ではなかったと気づいた幸子が、神父様に新たな伝言を入れようとした時、背後から声がします。
逃げようとした幸子ですが、下を見ると足首を掴まれています。振り払おうとするがアキレス腱を切断され、立てなくなってしまいます。
一番最初の攻撃がアキレス腱切断と言うのが冷静すぎて怖いです。
後頭部に力いっぱい鈍器で一発とかの方がまだ人間らしいですよね…
幸子…何でもっと早く逃げなかったんだ…何で雨宮家に戻ってきてしまったんだ…
リカが面白かった方におすすめの本3選

「RIKA」続編シリーズ:五十嵐貴久
リカ(2002年)
リターン(2013年6月)
リバース(2016年10月)
リハーサル(2019年2月)
リメンバー(2019年12月)
リフレイン(2021年3月)
リセット(2022年7月)
リベンジ(2023年5月)
リボーン(2024年7月)
黒い家:貴志祐介
顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。それが悪夢の始まりだった。
向日葵の咲かない夏:道尾秀介
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。
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