「とりあえず最後まで読んだけどあの場面ってなんの意味が合ったんだろう」「この作品めちゃくちゃ好きだわ〜次も似たような作品を読みたいけど調べるのがめんどくさいな〜」
読書好きにはよくある悩みだと思いますが、この記事を読むと
①作中で出てくる伏線を理解する
②「RIKA」の狂気名場面を振り返る
③「RIKA」が面白かった人におすすめの本を知る
ことができます。
管理人は年間100冊以上小説を読んでいるため、分かりにくい箇所を簡単にまとめて解説してみました。今回は、五十嵐貴久さん著の「RIKA」についてまとめています。
最後にはジャンルの似ている本を紹介するので気になる人は是非チェックしてみてください!
あらすじ
本間隆雄は妻子を愛する、42歳のごく平凡なサラリーマン。出来心で始めたインターネットの出会い系サイトで、ある日リカと名乗る女性と知り合う。お楽しみの時間も束の間、徐々にリカに対して違和感が芽生え、連絡を断とうするも時すでに遅し。リカの常軌を逸した行動に、精神的にも肉体的にも社会的にも追い詰められていく本間。
「いいの、あなたのことはこれから私が全部、面倒見てあげるから。もう大丈夫。何も怖くないわ。私がついてるもの。ね、わかる?あなたはあたしのものになるのよ」
エスカレートしていくリカから本間は逃げ切れるのか。
伏線と回収

伏線1:リカと本間の初電話で聞こえた金属音
ー引用文ー
「ううん、いいんです。でも、あまり長くはお話できないかもしれないです。ああ、悔しい、せっかく話せたのに」
乾いた金属音が聞こえた。リカが何かを叩いた音のようだった。
「気にすることないさ。とにかく、今日は話せたわけだし、これが最後の電話ってわけでもないんだから」
→作中では金属音に関する記述がいくつか見られます。
最終局面で、本間はリカに拉致されますがそこで金属音の正体がわかります。
ー引用文ー
ビニール袋を無造作にテーブルの上に投げ出す。金属がぶつかり合う音がした。
「それは」
「黙って」
最初に出てきたのは注射器だった。〜中略〜
そのたびに、テーブルにはさまざまなものが並んでいった。ハサミ、メス、鉗子、小さなノコギリ、さまざまな薬品の瓶、機械の類。
伏線1に対する考察
本間との初電話の際に聞こえた金属音は、リカが所持している人間解体キッドの音ではないでしょうか…恐ろしい。メンテナンスでもしていたのかもしれませんね。つまりこの段階でリカは本間を自分のものにすることは決めていたのでしょうね。
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伏線2:「あたしのものにしてあげる」の意味
ー引用文ー
「いいの、あなたのことはこれからあたしが全部、面倒みてあげるから。もう大丈夫。何も怖くないわ。私がついてるもの。ね、わかる?あなたはあたしのものになるのよ」〜中略〜
唇だけで言い返したが、リカの耳には届いていなかった。何を言っても無駄なのだ。そのとき初めてわかった。冷たい絶望感が全身に広がった。この女は、私の言葉を聞くつもりは全くない。いや違う、本当に聞こえていないのだ。そのことが私にははっきりとわかった。〜中略〜
なぜならこの女の中にあるのは、自分にとってのみ心地よく、自分にとってだけ都合のいい風景だからだ。その他の現実にあるすべての事象を、この女は夾雑物として絶対に受け入れない。〜中略〜
「愛する人を殺すなんて、そんなことできるわけないじゃないの」〜中略〜
「さっきから言ってるじゃない。あなたには、あたしのものになってほしいのよ。あたしの望みはそれだけなの。あの人はあたしのものにはならなかった。でも、あなたなら」〜中略〜
「あの女は、ここで、この手術台で、被害者の、本間隆雄の体を、バラバラにしたんです」言葉が次々に紡ぎ出されていく。「指を、手のひらを、肩から先を、足首を、脚を、あの女はすべて切り取ったんです。そして、まるでクリスマスツリーのオーナメントのように飾りつけたんです」〜中略〜
「あの女は、その作業を、麻酔をかけて、外科手術の要領でやってのけたんだ。あの女は全身麻酔をかけて、本間隆雄の体を切り刻んでいったんだぞ」〜中略〜
「あの女は、腕を、脚を切断して、そして本間の体を持ち去っていったんです・どういうことかわかりますか、課長。さっき俺は鑑識に聞いたんだ。切り取られた器官には生体反応があったと。それがどういう意味かわかるか。本間隆雄は、それだけのことをされて、まだ生きているんだ」〜中略〜
「あの女は、話すことさえできなくなった本間隆雄を手に入れたんだ。何もかも、女のいのままになるしかない本間隆雄を。あの女は、本当の意味で本間を自分のものにしたんだ」〜中略〜
「医者の話では、本間の意識はあと数時間で戻るそうです。腕も脚も、目も耳も舌も既に無くなっているのに、脳だけは機能しているんです」
伏線2に対する考察
◼︎以上の引用部分からわかるように、リカの「あたしのものにする」=「殺す」などと生やさしいものではありません。「あたしのものにする」=「物理的にリカがいないと生きていけない体に改造し、あたしの所有物にする」ことです。作中でもリカは本間を監禁し新婚生活気分を堪能していましたね。つまり、リカの理想の生活のための「生きている人形」を作り出すのがリカの目的です
◼︎「あの人は私のものにならなかった。でもあなたなら」と発言していることから、「あの人」とは大矢医師のことではないかと推測できます。大矢医師もバラバラ死体で発見されています。つまり、大矢医師も同じように「あたしのもの」にしようとしたが、何らかの不手際で死なせてしまったため遺棄したのではないのでしょうか。大矢医師は失敗作ということですね。
◼︎目や耳、手足の切断を行う目的は、大きく2つある
①「物理的にリカがいないと生きていない身体にすること」
②リカの理想を壊さないため
目→リカは自分の容姿に自信がない
手足舌→抵抗・脱走を防ぐ
鼻→リカは自分の体臭を嗅がせない
耳→謎
切断する意味→都合の悪いものは見せないしゃべらせない自分の理想の生活で一緒にいるため
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伏線3:本間の先端恐怖症
ー引用文ー
うるさい、と坂井の口を塞いだ。私は軽い先端恐怖症で、尖ったものが迫ってくるとそれだけで叫び出したくなる。〜中略〜
「じっとしてて。動かないで」
針が迫る。どこに?顔?
眼だ。
リカが針を刺そうとしているのは私の眼だ。絶叫が口からほとばしった。
伏線3に対する考察
先端恐怖症の本間ですが、全身麻酔をかけられる際、何故か眼からいかれてます。寒気がしますね…
フリどおりしっかりと絶叫しています。ちなみに作中では、ご丁寧に「眼球に注射すること」を「眼注」という解説までされています。
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伏線4:東和総合病院
ー引用文ー
『被害者は医師ーー田子の浦のバラバラ殺人
10日に発見された男性の死体は、東京都内の病院に勤める医師のものであると静岡県警は12日断定した。発表によると、被害者は大矢昌史さん(37)、中野区東和総合病院の勤務医。大矢さんは先月30日の午後、病院に欠勤の連絡を入れた後、消息が不明になっていた』〜中略〜
パトカーを降りた男が、二重に張られたロープをくぐる。
手袋をはめながら、建物の入り口を仰ぎ見た。東和総合病院、と記された口かけたプレートがそこにあった。
伏線4に対する考察
解体された本間の手足などが見つかった場所が東和総合病院。東和総合病院は、大矢医師(本間の前にリカのターゲットにしていた人物)の勤務先=リカの以前の勤務先。経営状態の悪化が原因で廃院していた。花山病院(東和総合病院)にリカがいたと証明できる証拠はないが、本間の解体場所に選んでいることから、「花山病院にリカが在籍していたこと」「大矢医師との何らかの関係があること」が予想できる。
作中の謎

謎1:どうやって本間を特定した?
→関係性が良かった頃にリカに教えていた本間の情報(人相などの特徴・身長・体重・細かいプロフィール、メールを送っている店の大まかな場所等)を元に、本間がメールを送る店にあたりをつけて張り込んでいたと思われます。
なぜ本間とわかったかについては、人相の特徴と目が合った際の反応で確信したのではないでしょうか。本間の方も相手がリカと分かったようなので、お互いビビッときたのかもしれませんね。ちなみに、リカは張り込みしつつノートパソコンで本間の情報(悪口)を書き込みをしていたみたいです。執念…
謎2:どうやって本間の個人情報を手にいれた?
→本間の最初の携帯番号から登録されている住所・本間個人・新しい電話番号を探偵を雇って特定したのではないかと原田(本間の大学時代の同級生で現探偵)が作中で予想している
謎3:亜矢の背中の赤十字の意味は?
→作中では謎のまま。ネット上で調べても特にそれらしい考察もないです。
最終局面で本間は、ゴルフクラブでボコボコにしたはずのリカに拉致され解体されます。解体される場所が病院であることを暗示しているのでは?(病院=白地に赤十字)と管理人はこじつけています。
管理人が選ぶ狂気名場面トップ3

トップ3:寂しくても家に電話したりしないリカを褒めて欲しいな。ねぇ、亜矢ちゃんはお元気?
→携帯を新しくしてリカとの連絡を断っていた本間は、会社のパソコンにリカがイタズラをしたことに気づき、焦り散らかして原田に助けを求めます。原田と当日会う約束を取り付け一安心したところで留守電を確認すると、リカからの伝言が。毎日電話していたかのように平然と喋り始め、教えたはずのない娘の名前を語るリカ。
この時点で、本名も住所も新しい携帯番号も職場も家族も特定されていることが確定します。リカの執念深さにゾッとしました。
トップ2:全身麻酔なのに初手で眼注
→本間は監禁拘束され、新婚生活ごっこに付き合わされた挙げ句(これだけで十分に地獄)
ここでリカは、最終的には全身麻酔をする予定なのに、あえて意識がある本間の眼に注射します。これ怖いのが、絶叫してる本間を見て楽しんでいるとかではなく、本当にあんま意味なさそうなところが怖さを助長していますよね。
トップ1:リカたぬき寝入りからの首筋に注射器をぶっさす
→気が触れる寸前の本間(異常者)VSリカ(異常者)の格闘シーン。
亜矢に危害を加えたリカに対して本間が怒りをあらわにします。リカは泣いて謝りますが、徹底して非難されることに耐えきれず、謎タックルを仕掛け、本間は流血します。
流血したことによりスイッチが入った本間はゴルフクラブでリカをボッコボコにします。
リカが意識を失ったところで、警察に突き出すためにリカを後部座席に引きずり入れ、いざ発進。の寸前に本間は首筋に注射器(麻酔)をブッ刺されます。
気を失ったフリ…だと…!?
管理人はこのシーン、思わず「ヒィィィィィ」と叫びました。
リカが面白かった方におすすめの本3選

①「RIKA」続編シリーズ:五十嵐貴久
「リカ」→「リターン」→「リバース」→「リハーサル」→「リメンバー」→「リフレイン」→「リセット」→「リベンジ」→「リボーン」の順で刊行されています!
②黒い家:貴志祐介
簡単なあらすじ:顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。それが悪夢の始まりだった。
③向日葵の咲かない夏:道尾秀介
簡単なあらすじ:夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。
いわゆる「人怖系」が好きな人にはどの本もピッタリですので、是非ご一読を!
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